一般社団法人 日本医療情報学会

[4-J-1-02] 血液透析患者における間歇補液と表計算ソフトを用いた循環血液量絶対値の算出とその精度の検証

*田中 智之1、松井 智博1、今川 恵吾2、北田 美由季2、谷口 敏理2、北風 政史2 (1. 滋慶医療科学大学 医療科学部 臨床工学科, 2. 錦秀会阪和記念病院)

hemodialysis, hemodiafilteration, blood volume

緒言:血液透析患者について、相対血液量(blood volume: BV)の連続測定機能および透析液の注入機能を用いた血液透析患者の透析開始時の循環血液量の絶対値(absolute blood volume before HDF: Before aBV)を計算する方法が報告されている。本研究では、間歇補液を透析中に複数回行う血液ろ過(intermittent hemodiafiltration:IHDF)の患者に応用し、その精度を検証した。
方法:日機装社DCX-200Si のcsvデータをパソコンに取り込んだ。算出するための表計算ソフトとしてMicrosoft Excelを用い、VBAでbefore aBVを算出できるようにプログラミングを行った。血液透析患者2名について、各IHDF中5回透析液の間歇注入したときのBVの変化より、Before aBVの平均値を算出した。患者2名とも18回のBefore aBVの平均値を算出した。
結果:患者(68歳男性)について、Before aBV(mean ±SD)は4117±396 mlで変動係数(Coefficient of Variation: CV)は7~13%であった。患者(68歳女性)について、Before aBV(mean ±SD)は3462±355 mlでCVは 5~38%であった。
考察:先行研究では、透析液の注入機能を用いたbefore aBVの算出を行っていたが、その注入時間と注入量の設定は、手動で行うものである。一方で、本研究では、IHDFの一定時間ごとに一定量の注入を行う間歇補液とVBAを用いることで、即座にbefore aBVを求めることができた。変動係数は、透析毎に変動した。この原因として、間歇補液の時間における患者の状態による影響が考えられ、より精度の高い方法の確立が課題となった。