一般社団法人 日本医療情報学会

[4-J-1-05] DICOM違反を地域連携などの仕組みを利用して改善を試みた経験

*青木 陽介1、田中 裕貴1、桑原 一也1、石渡 竜也1 (1. 大船中央病院)

DICOM Violation, Hospital/Clinic Collaboration, Standardization

DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)は,世界的に利用されている標準規格である。本規格により,施設はもちろん国を超えた画像情報の交換・共有が実現される。しかし,実際には本規格に従っていない,いわゆるDICOM違反の状態のデータも多く生成・流通しており,診療に支障を来すことが知られている。実際,大船中央病院(以下,当院)でも,持ち込まれる画像のおよそ1割程度にDICOM違反がみられる。DICOM違反は突発的・偶発的なトラブルなどで起こる可能性は低く,撮影装置やメディア生成装置の設定や仕様の不具合などが主な原因と考えられる。事実,違反の内容は施設+モダリティ(検査種)の組み合わせで固定であることがほとんどである。DICOM違反のデータが確認された施設に対し,個人の努力ではなく施設間連携の枠組みなどを利用しながら違反の事実を共有し,改善を図る試みを以下の4パターンで行った。①地域連携部門に違反の事実を伝え,画像情報担当者間で具体的解決策の検討(2施設)。②地域連携部門に違反の事実を伝え,地域連携部門と画像情報担当部門で話し合ってもらう(1施設)。③医師間の関係が非常に良好であることが確認できている施設に対し,医師を通じて画像情報担当部門に解決を促してもらう(1施設)。④施設間で共通する情報系ベンダーを通じて画像情報担当者を紹介してもらい,画像情報担当者間で解決策を検討(2施設)。まだ数件の経験しかないが,いずれも結果は良好であり,それ以降これらの施設から当院に持ち込まれる情報にDICOM違反は認められなくなった。DICOM違反は施設内では表面化しにくく,自施設では気付きにくい性質のものでもあり,施設間連携で解決することは効率的かつ客観的な方法として有効であると考えられる。