一般社団法人 日本医療情報学会

[4-J-2-03] 注射薬ラベルの表示項目とカラーラベルのデザインに関するニーズ調査

*西川 満則1、吉田 直樹1,2、新谷 拓也1,2、嶺尾 里奈1、米村 俊哉1、山本 智也1、武田 理宏3、奥田 真弘1 (1. 大阪大学医学部附属病院薬剤部, 2. 大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部, 3. 大阪大学医学部附属病院医療情報部)

HIS, pharmacy department system, label design

【背景】昨今、医療事故を防ぐための様々な仕組みが医療情報システムに実装されている。アプリケーションが進化する一方、出力物である帳票やラベルについては検討や報告は乏しい。また、コストや時間の面からもベンダから提案される標準的なデザインを採用することが多い。大阪大学医学部附属病院では2022年のシステムリプレイスでカラーラベル出力機能を実装したことを機に、ラベルデザインの改善を検討している。今回、他病院のラベルの記載項目や現状での不満について調査し、ラベルデザインにかかわるニーズについて検討したので報告する。【方法】医療情報技師-薬剤師の所属する156病院を対象にアンケート調査を行い結果を分析した。【結果】29病院より回答が得られた。患者名・薬剤名・投与日は全ての病院で表示しており投与量・患者IDは28、病棟名は27・投与ルートは25病院と多い一方、曜日は12・区分名7・性別は4病院であった。 また、20病院ではベンダへの意見出しの結果、作成されたラベルに概ね満足していると回答したが、うち11病院が何らかの叶えられなかった要望があると回答した。カラー化に関する設問では6病院が色分けは必要ないと回答した一方、16病院が用量が端数となる場合の注意喚起に色分けを使用したいと答えた。【考察】ラベルの記載項目は病院間で意見が分かれ、すべての希望を満たす標準的なデザインを決めることは困難である。今回の結果では概ね満足とされた意見の中にも何らかの不満や未解決の要望が多く含まれることが分かった。また、カラー化に関しては今回希望の多かった用量が端数となる場合の色分けについてはどのベンダも標準機能では実現出来ず、カラーラベルに関する要望を叶えるためには多くの病院でカスタマイズが必要だが医療安全の観点からも必要な改善と考えられる。今後も医療安全に貢献できるカラーラベルの検討を進めたい。