Japan Association for Medical Informatics

[4-J-3-03] ロボット支援下手術における患者受療動向と地域医療への影響評価

*Kikue Sato1, Daisuke Kobayashi2, Taiki Furukawa1, Yoshimune Shiratori1 (1. 名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター, 2. 富山大学附属病院地域医療総合支援学講座)

robotic-assisted surgery, endoscopic surgery, regional medical disparity, DPC

背景:ロボット支援下手術は2012 年,本邦において前立腺癌に対して初めて保険収載され、これにより泌尿器科領域で爆発的な普及が起こった。2018 年の診療報酬改定では、新たに12 術式が保険適応となり、泌尿器科,婦人科,胸腹部・消化器外科領域を中心に、今後もロボット支援下手術はますます増えてくるものと思われる。しかし、これら低侵襲外科手術など先端医療技術は大都市やその周辺地域の患者が享受しやすい地域格差が存在している。地域医療計画においても重要な地域偏在問題であり、ロボット支援下手術における患者受療の状況を把握することが必要である。
方法:愛知県「医療資源適正化連携推進事業」のもと、DPCデータ提供の承諾を得られた愛知県内の医療機関を受療し、2019年4月から2023年3月までの退院患者から、ロボット支援下手術を算定した症例を対象とした。対象患者の住所地・二次医療圏と受療施設間の受療状況を分析した。
結果:2019年度から2022年度の4カ年における愛知県下全体の手術件数・請求額の推移をみると、2020年度コロナ禍の影響における減少がみられるが、ロボット支援手術においては、コロナ禍による影響はほとんどなく、2019年度以降年々増加傾向(ロボット支援下手術件数対前年増減率2020年度+34.6%、2021年度+24.4%、2020年度+26.1%)であった。特に、婦人科領域においては、保険適用手技(2018年度適用)が、2術式ではあるが、直近4年間の推移において急増している。当該手術ができる医療機関は限定されている。2019年度では、県内11医療圏のうち半分以上の圏域で50%を超える患者流出率であったが、年々手術実施の医療機関も増え、圏域によっては、患者流出率も減少している。患者移動は、医療圏域を跨ぎ、さらに県を越境して、近傍圏域に受療している状況が捉えることができた。