Japan Association for Medical Informatics

[4-J-3-05] 保健師教育課程での情報管理に関する教授の現状と課題

*Miki Haraga1 (1. 産業医科大学 産業保健学部)

Public Health Nurse , Education, Information Management

【目的】 地域で生活する人々を支援する保健師は、活動を通じて個人や家族の情報だけでなく、地域の資源、行政組織内の多様な情報を把握している。そのため、情報の管理は保健師活動の基盤をなすもので、新任期から適切な情報の管理が求められる。そこで、保健師活動における情報管理について、保健師教育での教授の現状と今後の課題を明らかにする。
【方法】 2023年6月現在、発行・販売されている保健師教育課程用の教科書を対象とし、目次あるいは索引に「情報」や「情報管理」のキーワードが記載されている箇所を抽出した。抽出した箇所から、「情報管理」に関する記述を文脈ごと抜き出した。そして、抜き出した文脈を1つの記述内容ごとに分類・整理し、内容の類似性からカテゴリー化した。
【結果】 情報管理に関する記述があったのは6社6冊の教科書に12箇所の記述があり、公衆衛生看護管理や公衆衛生看護の倫理的問題などの章に記述されていた。記述は54件あり、箇所毎の記述では9件が最も多く、最小は1件であった。54件の記述内容のうち、電子文書管理システムや保存期間など情報管理方法に関する記述が13件と最も多く、次いで守秘義務や個人情報保護に関係する保健師助産師看護師法、個人情報保護法などの法律が10件、情報公開制度に基づく情報開示請求への対応が5件であった。また、SNS利用の留意点が3件であった。
【考察】 記述量に多寡はあるものの、情報共有・整理・活用・管理の方法と法的規定は、6冊全ての教科書で記述されていた。また、行政機関に所属する保健師の活動記録は公文書となり、開示請求の対象となるため、情報公開に関する記述もみられた。以前は、手書きの活動記録を紙媒体で保管することが多かったが、ICT活用促進の観点からも電子記録の活用がより一層進むことが予測されるため、セキュリティ対策の具体的方法やSNS利用に関する内容が必要と考える。