一般社団法人 日本医療情報学会

[4-J-4-01] NDBオープンデータを用いたリハビリテーション提供の経時変化-COVID-19の感染流行初期を含めた分析-

*森井 康博1,2、安彦 かがり3、石川 智基4,2、藤原 健祐5,2、此村 恵子1、小笠原 克彦2 (1. 国立保健医療科学院 , 2. 北海道大学大学院 保健科学研究院, 3. 札幌麻生脳神経外科病院, 4. 医療経済研究機構, 5. 小樽商科大学大学院 商学研究科)

NDB Open Data Japan, Rehabilitation , Time trend, COVID-19

【背景】リハビリテーション(以下、リハビリ)はADL向上や社会復帰等の観点から重要であり、感染症の流行状況等にかかわらず必要なサービスが提供されることが望まれる。COVID-19感染流行による受診控え等が報告されているが、リハビリ提供がどの程度影響を受けたかを調べた報告はない。本研究では、今後の適切なリハビリ提供に関わる方針や施策検討の一助となることを目的として、COVID-19感染の流行初期である2020年度を含めたリハビリ提供の経時変化の分析を行った。 【方法】2017-2020年度のNDBオープンデータよりリハビリに関する項目の外来と入院での算定単位数を収集し、各項目あるいは項目全体について前年度からの算定回数の増加率を算出した。 【結果・考察】2020年度のリハビリ算定単位数は前年と比して外来で約3.6%減少、入院で3.2%増加しており、入院では国民医療費の変動(3.3%減少)よりも増加割合が大きかった。この入院での算定回数の増加について、ほとんどの項目で2019年度以前の傾向と大きな差異は認められなかったが、呼吸器リハビリ料の算定回数は2019年から27.4%と大きく増加していた。 2020年度の外来リハビリについて、全外来リハビリの半分以上を占める運動器リハビリの算定単位数には前年比でほとんど変化がみられなかったが、呼吸器、心大血管、廃用症候群、脳血管疾患リハビリ料でそれぞれ25.3%、24.9%、14.7%、12.5%減少していた。単純な比較は困難であるが、これらの減少は同期間におけるそれぞれの項目の主要な対象疾患の外来国民医療費の減少割合(4.1%減少)よりも大きかった。今後はそれぞれの項目について個別の疾患に絞った分析等を行うことで、感染流行期におけるリハビリの提供状況ついて詳細な知見を提供していくことが望まれる。