Japan Association for Medical Informatics

[4-J-4-05] 医療従事者の属性の違いと多様な副作用表現の使い分けの関連性についての意識調査

*Akiko Tamon1, Tomoko Tashiro2, Masakazu Nishikori1, Makoto Goto1 (1. 株式会社インテージヘルスケア, 2. 有限会社ティ辞書企画)

Adverse Drug Reaction Terminology, Recognition Survey, Distinction Terminology

【目的】医療従事者は、日々の様々な業務で、医薬品副作用情報に接する機会がある。副作用用語は非常に多様性に富み、些細な表記の違い・用語の多さ・分類の複雑さなどの特徴を有している。意味の似ている表現について、その違いを認識して使い分けているのか調査するため、本研究では、医療従事者に対し副作用用語の使い分けに関するアンケートを実施した。
【方法】調査方法:医師・薬剤師を対象に、Web形式のアンケート調査を行った。調査期間は2022年12月23日~27日の5日間、依頼数は3,356件、質問数は33問。調査項目:①基本情報(職種)、②2つの似た用語(血便と便潜血、呼吸窮迫と呼吸困難)に意味の違いはあるか。検討項目:調査項目②について職種ごとにクロス集計を行った。
【結果】2,023件の回答があり、不適切回答161件を除外すると、有効回答数は1,862件、回収率は55.5%となった。①医師819人、薬剤師1,043人。②2つの似た用語について、血便と便潜血では、「違う」「よくわからない」「同じ」の回答が、医師656人(80%)、100人(12%)、63人(8%)、薬剤師538人(51%)、321人(31%)、184人(18%)。呼吸窮迫と呼吸困難では医師547人(67%)、212人(26%)、60人(7%)、薬剤師498人(48%)、481人(46%)、64人(6%)。
【考察】2つの似た用語について、薬剤師より医師の方が、「違う」と回答した割合が高く、「よくわからない」と回答した割合が低かった。これは、医師は疾患を診断する立場にあるので、それが反映されているためと考えられる。 また、呼吸窮迫と呼吸困難の方が、「よくわからない」の回答の割合が高かった。馴染みのない用語では、意味の違いが曖昧になる傾向がある。似た用語の区別がつかないと、同じ副作用でも人によって異なる表現が選択される可能性がある。