医療情報システム上で、入力、蓄積されたデータは、いわゆる一次利用以外に、経営や業務改善、医療安全、病院評価、研究、教育など、さまざまな目的で二次的に利用されている。医療情報システム内に保存されたデータを、二次利用するには、医療情報処理の知識を持った人材を確保するか、二次利用に特化したソフトウエアを導入するなど、相当なコストを負担する必要がある。これが、二次利用の普及における阻害要因となっている。一方、二次利用ソフトウエアの開発においては、医療情報システムから二次利用に必要なデータを抽出し、患者横断的に検索可能な形式に変換して保存する処理（ETL）を開発する必要があり、ETLソフトウエアの開発費が、二次利用製品のコストに負荷される。つまり、ETL部分および二次利用システムのための汎用的な共通モデルを利用することができれば、二次利用ソフトウエアのコストを削減することが可能となる。そこで我々は、二次利用のための共通データモデルSDMを開発した。
　本チュートリアルでは、共通データモデルのメリットと、導入した医療機関の評価、および二次利用システムを提供している各社に、製品の位置付け、製品の特徴、ユーザーの評価、および共通データモデルのメリットを発表してもらい、二次利用に取り組まれている、あるいは、二次利用の拡張を計画している医療機関にとって、共通データモデルの導入、および二次利用製品の導入における投資対効果を理解してもらうことを目的としている。