[1-D-4] 医療機関における無線通信環境確保にむけたガイドライン
医療機関や老人健康施設、さらには在宅医療においてもICT化が進み、 特に無線通信はその基盤として確実に導入が進んでいる。しかし運用上のトラブルは後を絶たない。業務用無線通信にトラブルが生じると、患者のバイタルサインの異常検知遅れ、ベッドサイドからサーバへのアクセス(患者情報の参照及び入力)不可など、患者安全と労働効率に対する脅威となりえる。また、患者向け無線LANの整備要求が高まっていると共に、不正侵入などセキュリティに関する事案も多くみられる。電波環境協議会(Electro-Magnetic Compatibility Conference、EMCC)は総務省と協力し、令和3年7月に「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」(以下、「手引き」)の改定版を発行した。この手引きは、医用テレメータ、無線LAN、携帯電話を中心として、安全な導入と運用のための情報と、病院側に求められる管理体制についてまとめている。また、改定版では無線LANについてはテザリングの取り扱い、携帯電話関連では5Gへの対応、院内PHSの今後の方向性などが追加されている。一方、日本建築学会はEMCCと協力して「医療機関における電波利用機器に配慮した建築ガイドライン・同解説-医用テレメータ編-」を令和3年9月に発刊した。このガイドラインは医用テレメータ設置にかかる計画・導入・運用における注意点をまとめている。この内容は無線LANの計画・導入・運用においても準用できる。本セッションは、これら手引きとガイドラインの内容を紹介し普及を図るべく、総務省九州総合通信局と共同でシンポジウムを開催するものである。本シンポジウムを通して、無線通信にかかる問題点と安心・安全な運用方法とその事例が周知され、患者安全と作業効率の向上が図られることを望むと共に、今後起こり得る問題についても議論する。
