[2-B-1-04] 食物・その他物質の禁忌・アレルギー情報共有に向けた実データ分析に基づく報告
背景:電子カルテ情報共有サービスでの食物・その他物質の禁忌・アレルギー情報共有について、国内共通のルールは現時点で存在しない。電子カルテ情報共有サービス上でのアレルギー情報の交換には、アレルゲンに関する用語集であるJ-FAGYを使用する方針が示されている。
目的:食物とその他物質に関する禁忌・アレルギー情報の多施設間共有に当たって、考慮すべき事項を検討するための基礎資料作成を目的とする。
方法:2022年1月1日~2023年3月31日に東京大学医学部附属病院を受診した患者について、電子カルテシステムに登録されている食物やその他物質の禁忌とアレルギー情報を収集し、J-FAGYによる表現の可能性やその他課題について分析した。
結果:対象者137,883人のうち、食物アレルギー入力のある患者は7,941人(5.8%)、入力延べ件数は14,086件であった。このうち選択入力件数は3,240件(23.0%)、自由記載件数は10,846件(77.0%)であった。自由記載には「カキ」(牡蛎・柿)や「ナシ」(梨・無し)等同音異義語、「冷たい牛乳」や「100%リンゴジュース」等修飾語句の付いた入力、「パイナップルにて舌のしびれ+のためラテックスフリー」等情報と判断を統合した内容、「ハラルの印鑑がない牛肉」等信仰上の事由があった。
考察:「柿・牡蛎」等の同音異義語について、J-FAGY等標準用語・コードによる情報共有は誤解回避の観点で有用である。患者サービス上重要な「冷たい牛乳」等の修飾語を含む情報のアレルギー情報欄への入力や、アレルギー内容と対処内容を同箇所に入力する工夫を仮に一律に禁止すると現場の不利益となり得る。医療機関内ルールや電子カルテシステムの実装によって、アレルギー・嗜好・信仰上の事由が区別されずに登録され得ることも、電子カルテ情報共有サービス上ではある程度許容する必要がある。
目的:食物とその他物質に関する禁忌・アレルギー情報の多施設間共有に当たって、考慮すべき事項を検討するための基礎資料作成を目的とする。
方法:2022年1月1日~2023年3月31日に東京大学医学部附属病院を受診した患者について、電子カルテシステムに登録されている食物やその他物質の禁忌とアレルギー情報を収集し、J-FAGYによる表現の可能性やその他課題について分析した。
結果:対象者137,883人のうち、食物アレルギー入力のある患者は7,941人(5.8%)、入力延べ件数は14,086件であった。このうち選択入力件数は3,240件(23.0%)、自由記載件数は10,846件(77.0%)であった。自由記載には「カキ」(牡蛎・柿)や「ナシ」(梨・無し)等同音異義語、「冷たい牛乳」や「100%リンゴジュース」等修飾語句の付いた入力、「パイナップルにて舌のしびれ+のためラテックスフリー」等情報と判断を統合した内容、「ハラルの印鑑がない牛肉」等信仰上の事由があった。
考察:「柿・牡蛎」等の同音異義語について、J-FAGY等標準用語・コードによる情報共有は誤解回避の観点で有用である。患者サービス上重要な「冷たい牛乳」等の修飾語を含む情報のアレルギー情報欄への入力や、アレルギー内容と対処内容を同箇所に入力する工夫を仮に一律に禁止すると現場の不利益となり得る。医療機関内ルールや電子カルテシステムの実装によって、アレルギー・嗜好・信仰上の事由が区別されずに登録され得ることも、電子カルテ情報共有サービス上ではある程度許容する必要がある。
