[2-B-3] 臨床や治験、解析からみたePathの活用と未来
Clinical pathway, Standardization, Decentralized clinical trial, Personal Health Record
2015年に設置した日本医療情報学会と日本クリニカルパス学会の合同委員会は、クリニカルパスシステムやデータモデルの標準化について検討を重ねてきた。ePathは、2018年度AMED「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」で開始し、電子カルテベンダーが異なる4つの医療機関で医療プロセス管理の3層構造(OATユニット)を医療の基本単位とした標準クリニカルパス機能の実装やePathデータ格納用のリポジトリの開発、多施設のデータ収集と統合解析によるLearning Health System(以下LHS)を実施した。2021年3月のAMED終了以降も合同委員会の下で活動しており、ePathリポジトリは2021年12月に日本医療情報学会標準に認定された。2023年10月には、保健医療福祉情報システム工業会との連携により実装ガイドを作成した。さらに、LHSによる医師の業務負荷軽減とガイドラインの策定、分散型治験のための治験ワークシートへの発展的利用を試みた応用研究の事例がある。2023年度の内閣府Bridge事業では、ePathの外来対応と健康管理のOAT ユニットを策定し、Personal Health Recordと連携することで患者の在宅時の状態管理や個人のヘルスケアプロセス管理を可能とする個別化LHS基盤を構築した。ePathは入院から外来治療、さらに予防や治療後のケアの領域まで拡大することで、個人の生涯にわたるヘルスケア(健康・医療・介護)に関する情報管理が可能となる。医療DX推進本部の政策である全国医療情報プラットフォームや国際標準規格などへの対応を進めており、well-beingを実現する基盤を目指している。本発表では、臨床面・治験面・データ活用面からみたePathの応用事例と今後の期待について議論する。
