[2-C-1-03] 生体認証ICカードを利用した二要素認証対応システムの実装検証
system security, Two-factor authentication, smart card, fingerprint authentication
【目的】昨今,情報セキュリティ対策強化の面からユーザ認証において知識・所有・生体の組み合わせによる多要素認証が求められている.厚生労働省も,医療情報システムに対して「令和9(2027)年時点で稼働していることが想定される医療情報システムを、今後、新規導入又は更新するに際しては、二要素認証を採用するシステムの導入、又はこれに相当する対応を行うこと」(医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版 システム運用編)を求めている.しかし,多要素認証の実現には認証システムの構築に加え対応デバイスを各端末に備えなければならず多額のコストを要するケースがほとんどである.そこで,今回指紋認証機能を有するICカードを使用したICカード認証システムのみの構築で2要素認証を実現するシステムを用いその効果について検証した.【方法】当院既存の二要素認証システム(顔認証+ICカード)と比較し,導入・管理(導入コスト,初期ユーザ登録)及び利用(認証時間など)面における比較を行った.【結果】①導入管理面:通常は二要素認証それぞれの対応デバイス・システムが必要であるが本システムはICカード認証システムのみの導入で二要素認証が可能となるため低コストでの実現が可能であった.また,初期登録においても設備・時間が簡略化可能であった.②利用面:顔認証を併用したシステムと比較し,本システムは短時間での認証が可能であった。I Cカードの紛失・盗難時にも指紋認証による本人確認が不可能であり規定回数以上認証を行うとカードが無効になり,なりすまし防止が可能など安全性が担保可能であった.【結論】本認証システムは,他の方式と比較し低コスト・低負荷で二要素認証システムの構築が可能でありセキュリティ確保において有用である.
