一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-3-03] 人工知能技術を用いた医療機器不具合用語集の整備支援

*谷川原 綾子1 (1. 北海道科学大学)

医療機器の不具合や、これに伴う患者の健康被害が生じた際に、企業等は厚生労働省に不具合等報告を提出する。この報告書に記載する用語の標準化のため、医療機器不具合用語集が平成27年3月に公表された。現在までに第6版が公開されており、医療機器の一般的名称に対応させた全97の個別用語集と1つの共通用語集から構成されている。個別用語集は、医療機器関係団体がそれぞれ作成し、医療機器不具合用語、健康被害用語、部品構成品用語が収載されている。各用語には、コード、定義、同義語が付与されており、さらには、International Medical Device Regulators Forumが公開しているAdverse Event Terminology(IMDRF-AET)とのマッピングも行われている。共通用語集は、IMDRF-AETを国内の不具合等報告への使用に適した形に整備された用語集である。
医療機器不具合用語集の整備、改訂作業は日本医療機器産業連合会の不具合用語ワーキングが用手的に行っている。作業の問題点として、特定の作業者への負担が高くなることや、担当者が変更となった際の作業の一貫性を担保する事が難しいことなどが挙げられる。そこで、作業の効率化と精緻化に向けた人工知能技術を用いた用語集編集支援ツールの構築に係る研究を進めているところである。我々はこれまでに、用語集編集作業を洗い出し、次の3つの作業を対象として研究を進めてきた:①個別用語集間の編集・再構成、②IMDRF-AETの和訳、③IMDRF-AETと個別用語集のマッピング。本講演では、この3つの取り組みについて紹介したい。