Japan Association for Medical Informatics

[2-C-3-04] PhVidを用いた不具合事象シグナル検出の試み

*Fumiaki Mikami1, Hideto Yokoi1 (1. Kagawa University Hospital)

医薬品の副作用に関しては不均衡分析を用いたシグナル検出手法が確立しているが、医療機器の不具合について同様の手法を用いて良いかどうかは十分な検討が必要である。例えば、医薬品の副作用に関する主たる属性は「品目名」「【副作用】事象名」「日時」であるが、医療機器不具合に関する主たる属性は「品目名」「【不具合】事象名」「【健康被害】事象名」「日時」であるという違いがある。また、医療機器の不具合の場合、機器の種類によって起こりえる不具合と、起こりえない不具合が存在する。例えば、電力を必要としない機器では、電力不足に関連する不具合報告は発生しない。そこで、今回、医療機器の種類別に分類した不具合報告データを用いて、医薬品副作用のシグナル検出で利用されているPRR、POR、GPS、BCPNN分析を実施して、医療機器不具合のシグナル検出に有用であるかの検討を始めた。分析対象はペースメーカーの【不具合】事象名の報告とし、2021年4月から6月までに報告された440件とした。分析はRのPhVIDパッケージを用いて実施し、シグナル有りと判定されたのはPRR:94件、POR:89件、GPS:40件、BCPNN:21件であった。4つの分析すべてでシグナル有りと判定されたのは17件あった。GPSでは6件が単独でシグナル有りと判定されていたが、BCPNNでは単独で判定されたものはなく、必ず別の判定結果でシグナル有りとなっているものが含まれていた。これらの結果について、各ペースメーカーと不具合事象の関係が適切に表現され、安全性評価を補う手法となっているかの検討を今後進めたい。また、その他の医療機器や健康被害の事象名を分析に含めたり、複数の時点を対象とした時系列分析手法を検討するなど、医療機器の安全性評価の機能を高める手法をさらに探求したい。