[2-C-5] クラウド上の医療AI利用促進のためのネットワークセキュリティの現状とその課題
医療AIは、深層学習による画像認識の飛躍的な精度向上によりがんの診断など、医療への有用性が示された。また、2022年より実用が本格化した生成AIの可能性が増している。一方で、2024年から医療従事者の働き方改革が本格化し、2025年には団塊の世代が75歳に到達することで医療・介護の担い手不足が深刻化する。医療AIは、これらの課題の解決に大きく寄与すると考える。そのためには、個人情報保護に配慮したデータ活用が求められるとともに、それを支える安全・安心なセキュリティ環境の整備が重要である。昨今ランサムウェアなどのサイバー攻撃の危険性が高まっており、厚生労働省は医療機関へのセキュリティ対応として、従来の境界型防御型だけではなくゼロトラスト型セキュリティの併用を推進しているが、まだ知識集積段階のことも多く、普及しているとはいえない状況である。現実論として医療施設は経営基盤の違いや役割分担、病床規模の違いから、電子カルテシステムの導入率も違えば、そこに投入できる予算や人的リソースにも違いがある。AIの活用とセキュリティ対応の両立こそ喫緊の課題であり、それには現状を正しく把握・類型化し、予算や人員確保・育成などを含めた合理的なアプローチで、セキュリティ対応を考慮する必要がある。本シンポジウムは、(1)医療AIやセキュリティの現状と課題、(2)医療施設のセキュリティ対応の実態とその課題、(3)セキュリティ対応プロダクトの現状と評価、(4)グループ病院におけるセキュリティシステム監査とその課題、(5)地域医療連携システムでのセキュリティ対応への期待、(6)クラウド型AIの現状や期待について議論をしながら、実効性のあるサイバーセキュリティ対策とクラウド型AIの活用を両立させる方法を考える。
