一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-5-05] 地域医療連携ネットワークシステムを活用したゼロトラストのニーズ調査

*藤井 進1,2,3、野中 小百合1、中村 直毅3 (1. 東北大学災害科学国際研究所、2. 慶應義塾大学大学院、3. 東北大学病院)

Perimeter Defense Security, Zero Trust Security, Cyber Attacks, Ransomware, regional coordination system

2022年の大阪にある医療施設でのランサムウェア被害はセキュリティ対策を見直す契機になったが、2024年にも岡山県の医療施設で被害が報告され今なお喫緊の課題である。一方でセキュリティ対策を担う人材不足は深刻であり、総務省の発表では2020年時点で19万人が不足するとしている。
 こうした社会背景のなかで、地域の医療を担う中小の医療施設がセキュリティ対策を進めることは予算も含め困難が予想される。一方で従来のリモートメンテナンスに加えて、PHRなど患者との双方向性、デジタルヘルスケアサービスなど外部接続が増えることも予測される。
 地域医療連携ネットワークシステム(地域連携システム)を介して外部接続管理やゼロトラスト型セキュリティ対策を提供できれば、人材不足や予算問題を解決できる可能性がある。そこでニーズを明らかにするため宮城県の1736の医療施設に地域連携システムを介したセキュリティ対策とし、自院のセキュリティ評価、外部接続のクラウド集約やサイバーセキュリティ対応の有効性、AIサービス利用についてアンケート調査を実施した。
 有効回答数は330(診療所80%,200床未満12%, 200~399床4.5%,400床以上2%,他)であった。全体で人材不足は71%が感じ対策は41.5%ができている。クラウド化により外部接続が集約される魅力は48.6%が感じ保守から解放される魅力は48.9%が感じる。外部サーバ接続の管理から解放される魅力は43.2%であった。クラウド上にバックアップ保存できる魅力は55.9%が感じ、それにランサムウェア対策機能があれば69.3%に上昇した。また災害対応を兼ねれば80.5%に上昇した。AI利用は63.9%が魅力を感じるとなった。
 地域連携システムを介したセキュリティ対応は魅力を感じる回答が約半数以上あり、現実の対応方法として有効な手段の1つと考えられた。