[2-C-5-06] クラウド型AIサービス活用の課題と将来の展望について
医療機関では、2024年4月から医師の時間外労働の上限規制が開始され、医療従事者の働き方改革を迫られている。さらに、2025年には団塊の世代が全て後期高齢者となるため、医療・介護の担い手不足が深刻となる。AIサービスの活用や多職種によるデータの連携は、これらの課題の解決に大きな期待が持てる。SaMDの認証・承認件数は2023年末時点で500件を超え、普及の兆しが見え始めたが、クラウド型AIサービスは少数に留まっている。SaMDに該当しないソフトウエアは、事務処理の効率化や文書作成支援などの補助ツールとして活用が始まっている。さらに2022年より利用が本格化した生成AIの存在感が増しているが、薬事対応や利活用ルールの整備がまだ追いついていない状況である。AIサービスの利用シーンについては、医療機関内での利用のほか、介護施設や薬局での利用、訪問診療や遠隔診療での利用や患者PHRの活用などの医療機関内外における個人情報に配慮したデータ連携や医療従事者が院外からの医療情報へのアクセスなど、AIサービスの様々な活用が考えられる。一方で、政府による電子カルテ普及率100%に向けた取組みをはじめとする医療DXの推進により、サイバーセキュリティリスクが益々高まるため、医療機関の特性やIT体制に見合ったセキュリティ対策が必須となる。医療AIプラットフォーム技術研究組合(略称HAIP)は、安全・安心・簡単にリーズナブルなコストで利用できるネットワークセキュリティ環境に支えられたクラウド型AIサービスの提供に向けた研究開発を進めている。本発表では、医療機関を取り巻くセキュリティ対策の実態と対応策、医療機関が利用しやすい安全・安心なクラウド型AIサービスの実証、医療機関における生成AI活用の可能性と利用ガイドのライン及び医療AIプラットフォームの将来の展望について述べる。
