Japan Association for Medical Informatics

[2-D-1-01] RWD研究のための研究計画書共通書式の作成と倫理審査フローの確立と今後の課題

*Takahiro Imaizumi1 (1. Nagoya University Hospital)

Unified ethical review, Clinical research, Data provision

診療情報を用いて実施する臨床研究は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に則って適切に倫理審査を受ける必要がある。臨中ネットでは、多機関に跨って研究を実施することが想定されている。しかし研究機関によって倫理審査を行うための研究計画書の書式が異なっていたり、審査を行う業務フローが異なっていたりするなどの問題があった。そこで、研究計画書の書式を共通化した「研究計画書のひな形」、および研究者が記載するのをサポートするための「手引書」も作成した。最終的に臨床研究中核病院の倫理委員会へ問い合わせ、1施設を除く施設から臨中ネット書式が利用できることを確認した。さらに、一括審査の原則に則った運用を円滑に進めるため、臨中ネットで収集したデータを用いて実施するための運用フローを整理することとした。研究テーマに合わせて各機関から研究者に向けてデータ提供を行うにあたり、データ提供に関する許可を各機関の長が最終決定を下す。この際にも「倫理委員会の意見を聴く」ことになっているが、一括審査の中でデータ提供可否まで審査を行うかどうかについては各機関の個別判断に委ねられる可能性がある。作成した倫理審査フローに対し、試験運用を行ったところ、様々な課題が明らかとなった。特に、研究代表機関以外はすべてデータのみを提供する機関という位置づけとなったため、データ提供の際に各機関内の運用手順が規定されていないなどのケースもあり、混乱が生じた。各機関の相互理解を深めて調整を図ることが重要であり、実運用でのフィードバックを繰り返しながら体制改善を繰り返す必要があると思われた。また、「データ提供に関する抵抗感」も根強く残る。運用フローの精緻化、円滑化、簡略化を含めて今後取り組むべき課題を、本講演において明らかにする。