Japan Association for Medical Informatics

[2-D-1-03] RWDを利用した研究を推進するための人材育成

*Fuyuka Miyahara1, Atsushi Takada1, Masami Mukai3, Katsuya Tanaka3, Takanori Yamashita1, Seiichi Yoshimoto3, Naoki Nakashima1,2 (1. Kyushu University Hospital, 2. Graduate School of Medical Science, Kyushu University, 3. National Cancer Center Hospital)

Real-world evidence, Real-world data, Human resource development, Seminars

データサイエンティスト向けの医療RWDの利活用を推進する人材育成プログラムが各種提供され始め、RWDの特性を理解し活用できる研究者が育成されている。一方で、その研究者が画期的な研究計画を立案できる能力があったとしても、その基となるRWDの品質に課題がある場合や研究に必要なデータとRWDの実態が異なる場合には、研究計画に困難が生じたり、期待する成果を得られない、あるいは誤った結果を公開するリスクさえある。臨中ネット事業の活動を経て、RWDの生成や抽出、加工、提供するプロセスに関与する人材不足や施設間差異が確認でき、本プロセスの専門知識(標準化、品質管理、IT化)を持つ人材育成が喫緊の課題であることが明らかとなった。
2018年に本事業が始動し、人材育成サブワーキング(SWG2A)において医療情報基盤の整備に関わる人材を定義した上で人材育成目標を策定し、人材育成プログラムを構築した。2021年度より臨中ネットセミナー(基礎、実践、専門分野)を開催し一般公開し、併せて、施設間の人材交流を促し専門知識の共有や課題解決を目的としたOJTを企画し、開催する等の取組みを行っている。
また、2020年度より各施設の医療情報基盤の整備や研究者の支援を行う人員配置状況調査を継続している。その結果、本プロセスの実務に関与する人材は多くが非常勤で雇用され、育成後も継続雇用が困難である等の問題が顕著化した。加えて、RWDの蓄積や標準化に関与する医療職は、教育課程で医療DXに関する系統的な教育が十分に実施されておらず、雇用後に業務上必要な最低限の教育を受けるのみであることが分かった。そのため、医療情報基盤の整備や本プロセスを支える人材の雇用や育成環境が脆弱で、適宜、システムベンダーの協力を得る必要性も本事業を通じて理解した。これらを実現するための教育や勤務環境の設計、政策等が望まれる。