Japan Association for Medical Informatics

[2-D-3-02] 症例登録における正確なデータ登録を支援するシステム構築の試み

*Haku Ishida1, Yasushi Hirano2, Koichi Kashibe3,2, Masahiko Nakatsui3, Hiroyasu Harada4, Hiroaki Nagano3 (1. 一般財団法人 淳風会, 2. 山口大学医学部附属病院, 3. 山口大学大学院医学系研究科, 4. 富士通Japan株式会社)

Case Registry, Validation, Supporting system

【目的】症例毎に症例登録フォーム(CRF)でのデータ入力が必要な症例登録においてその登録データの品質は登録者に委ねられている。我が国の代表的な症例登録事業であるNCD症例登録を対象として施設内での電子カルテや関連システム等に蓄積された診療情報(既存情報)をもとに正確な情報登録を支援するシステム機能の検討を行う。【方法】a.NCD症例登録に一部他の症例登録を加えた27種のCRFにおける登録項目を抽出し横断的に頻度高く用いられている情報項目を確認する。b.aの項目を中心に胃癌・大腸癌および乳癌手術症例の登録情報と既存情報との不一致例を参考として、該当CRF毎の要求データに基づく施設内の標準および非標準構造化情報、および退院要約や検査報告書等のテキスト情報から収集すべき関連情報の取得を可能とするデータ収集基盤および提示機能を有するシステムについて検討する。【結果】NCDを中心とした症例登録事業の27種のCRFで登録が必要な項目は総数2370項目で、うち5CRF以上に用いられている項目は65項目であった。そのうち、不一致は喫煙歴、麻酔種別、体重や検査結果、腫瘍径等の数値情報やTN分類、糖尿病、高血圧などの併発症の有無に多く認められた。そのため、手術日や入院日を基点としたSS-MIX等の取得可能な標準化情報や術前、術後等の異なる時期でのTN分類などの未標準の臨床情報、あるいは病理報告等のテキスト情報からの取得が必要と判断した。そのため、特定の日を基点、あるいは範囲設定の中での関連情報の収集基盤と適切な値、リスト項目やコードへの変換等のデータ加工、およびその連携(項目紐付け)設定基盤を有するプロトタイプシステムを構築した。【考察・結論】今後、さらに登録データ検証機能の追加が必要であり、また、今後のHL7 FHIRによるデータ流通を見据え、必要となる情報をREST API等で共有する基盤構築が望ましいと考えられた。【倫理的配慮】当院倫理審査委員会承認済(H2021-086-3)