Japan Association for Medical Informatics

[2-D-3-05] データウェアハウスを活用したNCD登録支援システムの構築

*Hiroshi Hori1,2, Keiko Koyano1,2,3, Shuuhei Iida1,2,3 (1. 公益財団法人東京都医療保健協会 情報・質管理部, 2. 公益財団法人東京都医療保健協会 練馬総合病院, 3. 公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)

NCD, DataWareHouse, insourcing

【背景】
2010年に日本外科学会など10学会がNational Clinical Database(NCD)を設立し、専門医制度の実績を評価している。2014年に症例データのアップロード機能が提供されたが、当院では医師事務作業補助者がweb上で手入力しており、データ蓄積もできなかった。CSV形式出力対応と独自データ蓄積を目的に、2016年にNCD登録支援システムを内製した。
【方法】
院内情報システムのデータウェアハウスから、手術情報・検査結果・病名等の登録に必要な情報を自動取得し、不足項目を手入力する仕組みをMS-Accessで内製した。保存したデータはNCDアップロード機能に対応するCSV形式で出力するように設計した。
【結果】
本システムの利用で経験の浅い者も従事可能となり、症例登録が大幅に省力化できた。開発にあたり、患者と入院・手術回数を一意に決定するNCD側のキーと、院内IDとの照合で難航したが、NCDから一部情報を書き戻す手順で対応した。2016年に泌尿器科学会もNCDに参入したため、対応プログラムを開発し、2018年から稼働した。
昨年までの登録症例数は、外科で約2600件、泌尿器科で約3100件(年間平均は各々370・520)である。なお、当院での症例数の少ない領域は開発コストに見合わないため手入力を継続している。
データ増大・仕様の複雑化等でAccessの継続使用が困難になりつつあるため、Webアプリを開発中である。
【考察・結論】
NCDが指定する登録方法では入院回数・手術回数・患者IDなどを組み合わせたキー作成を要するのでNCDが担うべき作業と考える。一方、一部ベンダには全て初回の入院・手術として登録を黙認しており、一貫性がない。
過去にCSVアップロード機能を廃止予定の学会があったが、当院が要望して継続した。症例登録には労力を要し、中小病院には負担が大きい。NCDには更なる効率化を期待する。