[2-D-5-02] 基礎研究の立場から
本年度から科研費等の公的研究費ではデータマネジメントプラン(DMP)の作成が求められるようになり、研究データ管理やデータ公開・利活用について意識する機会は増えている。データシェアリング(又はデータ公開)を考えたときに、データの内容(種類)やシェアリング方法等について考える必要があるが、これまで研究者はこれらについて積極的に考える機会はなかったと思う。しかし、近年の学術雑誌では論文に記載されているグラフ等の元になったデータ(生データ)をサプリメンタルデータとして求められることも増えてきており、結果としてデータシェアリングに繋がっている。また、企業等と共同研究を行っていれば、データシェアリングを行っていることになる。本ワークショップでは、基礎研究者の立場から実験データについてどのように考えているか、その上で、データシェアリングに対する考え方について私見を交えながら述べたい。一方、統合イノベーション2021では、国立研究開発法人に対して機関リポジトリの構築等、研究協力強化やオープンサイエンスに向けての目標が挙げられ、政府方針として研究データの利活用促進が求められている。従って、研究データの取り扱いは、研究者個人だけでなく、組織として考える必要がある。また、国立がん研究センターは令和3年度に橋渡し研究支援機関として認定され、基礎研究成果の実用化に向けて、研究データの利活用に取り組む必要性がある。国立がん研究センターとしてデータシェアリングや利活用に対する取り組みについても触れたいと思う。
