一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-5-04] 「医学、医療におけるデータシェアリングのいま」
データマネジメントの視点から

*上野 悟1 (1. 国立保健医療科学院)

アメリカ国立衛生研究所のData Management & Sharing Policyでは、データマネジメントとデータシェアリングの計画と実施、プライバシーの保護、リポジトリ等、幅広い情報が提供されている。データマネジメントは、研究データを検証、整理、保護、維持、処理するプロセスであり、データ利用者がデータにアクセスしやすく、信頼性が高く、品質が高いことを保証するものである。データシェアリングは、研究の発見を加速し、研究の厳密性と再現性を高め、価値の高いデータセットへのアクセスを提供し、将来の研究のためにデータの利活用を促進する目的がある。
収集する目的や品質が異なるデータを同じデータとして扱うには注意が必要であり、データの品質や信頼性を確保するために、データマネジメントが行われる。データの信頼性の確認のために、必要に応じて原データまで遡ることもあるため、仮名加工情報として取り扱う等データの検証が行えることが大切である。
研究データを広く利活用されるには、データを説明するメタデータが必要となるが、すべての研究データにメタデータを付加することは難しい。そこで、全ての疾患に共通する項目等は、既存の国際標準や国内標準を利用することを提案したい。既存の標準とバージョン等を示したメタデータ、標準以外のデータのみメタデータを作成することにより、メタデータの作成と管理を効率よく実施し、公開した研究データを正しく理解できる。
データシェアリングでは、全てのデータを公開するのではなく、データの特性から公開すべきもの(オープン)と保護するもの(クローズ)を分別して公開するオープン・アンド・クローズ戦略を考慮し、オープンサイエンスの促進にも役立つ。研究データの利活用促進が求められており、医学や医療が注目されているが、医療情報には個人情報や機微な情報が含まれるため注意も必要である。