Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-05] IT企業から見たPV領域でのAI開発

*Rika Okamoto1 (1. Translational Research Center for Medical Innovation)

ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)は、本邦での製薬・化学・食品・医療・ヘルスケア関連のライフサイエンス分野でAIとビッグデータ技術の進展を目指し、2016年に設立され、2017年7月からはターゲット探索から薬物治療までの医薬品開発の各段階に沿ってAI開発を開始した。2023年4月に法人化し、アカデミア、ライフ系(主に製薬企業を指す)、IT系、賛助会員から構成され、アカデミアの触媒機能により、IT業界とライフ業界の連携を促進し、AI戦略によるライフ業界の産業競争力を加速することを目指している。
 PV領域はLINCの10のWGのうち、WG08「治験・市販後・メディカルアフェアーズ」が該当する。しかし、法人化前の時代では、AI開発に必要な学習データとして挙げられるカルテ情報は個人情報等の課題があること、ライフ系の持つ安全性情報は企業機密のためLINC組織で取り扱うことができないこと、そして添付文書やインタビューフォームなどの文書がXMLやPDF形式のため、まず、情報の入手の続きに長期間を要し、文書の構造化等のデータ整備が必要であるなど、AI開発が難航した。
 しかし、昨今、生成AIといった大規模言語モデルが出現し、これまでのデータに対する課題をクリアすることが可能となり、今こそPV領域のAI開発を促進する時代となったが、カルテ情報等をAI開発に用いる場合のルールをガイダンス等で示す必要性がある。
 そこで、ライフ系、IT系に対してPV関連のAI開発についてアンケート調査を実施し、現時点でのAI開発の課題やPV領域でのAI開発のニーズ・期待を整理し、PV領域のAI開発を促進するための環境整備を検討する。本課題では、LINCに所属するIT系企業や各種学会に参加するIT系企業を対象にアンケート調査を実施したので、その結果を報告する。