Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-06] 医療現場におけるAI活用の可能性と課題

*Susumu Wakabayashi1,2, Ryoma Seto2 (1. Kyorin University Hospital, 2. Faculty of Healthcare, Tokyo Healthcare University)

医療機関がPharmacovigilance(PV)分野でAIを活用するにあたっては、施設内でPVを主管する薬剤部門がリーダーシップを発揮するとともに、電子カルテシステム等の病院情報システムを主管する医療情報部門とも緊密な連携を図ることが欠かせない。わが国では2018年に発出された通知にて「診断、治療等を行う主体は医師であり、医師はその最終的な判断の責任を負う」という前提のもと、「人工知能(AI)を用いた診断・治療支援を行うプログラムを利用して診療を行う場合」もあり得ることが明示された。また同時期にAIの技術的発展が著しく進んだこともあり、医師に限らず薬剤部門を含む様々な部門の業務において、AIの活用が急速に進むこととなってきている。よってPV分野においても今後急速にAIの活用が進む可能性があるが、薬剤部門におけるAI活用のあり方や課題等はまだ十分に整理されている段階にはなく、先進的な取り組みを行っている病院が試行錯誤している状況にある。そこで我々は、それらの取り組みを行う病院の薬剤部門において、PV分野にAIを活用する意向があるか、AIの活用を見据えてどのような準備を行っているか、及びAIの活用に向けてどのような課題があるか等について定性的に把握することとした。その結果、病院の薬剤部門としては、副作用報告や有害事象の検出を効率化し、正確なデータ管理をサポートすることに大きな期待を持っていることが明らかになった。現状では電子カルテを使った自動報告システムを有する施設も見られるが、現状は自動化できていない施設が多く、AIによる効率化が望まれていた。その次の段階として、看護記録など他の職種による既存記録も生かして未知の副作用を検出するなど質的充足に活用したいとの意向がうかがえた。