Japan Association for Medical Informatics

[2-E-3-02] 医療画像データの増加に伴う課題

*Minoru Kawamata1 (1. Osaka International Cancer Institute)

医療画像のデジタル化により、従来の画像診断に比べて迅速かつ詳細な情報を提供することが可能となり、地域連携や遠隔医療などの分野の発展にも大きく貢献してきた。しかし、CT装置などの高速撮像技術の普及や内視鏡画像・超音波画像の高解像度化により診断の精度は向上したものの、院内における画像データ量は爆発的に増加し、いくつかの課題を引き起こしている。まず、画像データ量の増大に伴うバックアップの問題が挙げられる。2024年3月に発刊された医療情報システムの安全管理に関するガイドライン6.0版では、サイバー攻撃の多様化・巧妙化により診療業務に大きな影響が生じていることを踏まえ、バックアップの重要性が強調されている。特に、世代管理方法やネットワークから切り離したローカルバックアップの重要性が指摘されているが、画像データの容量の観点からローカルバックアップが困難な場合もある。また、画像データ量の増大は画像連携においても問題を引き起こしている。放射線診断装置からの画像連携は「患者紹介等に付随する医用画像についての合意事項」に基づいて行われてきたが、高解像度の超音波画像や内視鏡画像への対応が難しい状況である。さらに、放射線治療領域においても高精度な治療が可能となり、再照射の需要が増加傾向にあるが、画像連携が十分でないために治療が困難になるケースもある。本ワークショップでは、画像データ増加に伴うこれらの問題点について提示し、解決策を探るためのディスカッションを行いたいと考えている。