CT、MRIをはじめとした検査装置の技術進歩にともなって、そこから発生する医用画像データ量もどんどん増加している。これら大量の医用画像データは院内だけでの利用にとどまらず、地域医療連携をはじめとした複数施設での画像交換といったかたちで日常的に利活用されている。
　現状の画像交換の方法としては、CDやDVDといった可搬型媒体に医用画像データを保存して、それを提供先の医療機関へ物理的に運ぶといった方法が一般的であり、IHE PDIに沿った標準的なデータ構造、データ交換方法によってスムーズな医用画像データの交換が実現されている。これに加えて近年では、インターネット技術の進歩によりnet PDIをはじめとするクラウド技術を利用したソリューションが注目されている。これらは可搬型媒体による画像交換よりも、より迅速に、より安全に医用画像データの交換を実現できることから、今後クラウド技術を利用した画像交換がますます増えていくことが予想される。
　本講演では、クラウド技術を利用した画像交換の現状と課題について解説し、よりよい画像交換の実現に向けて議論したいと考える。