一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-4-01] 国家戦略特区、特にデジタル田園健康特区における取組の推進について

*松平 健輔1 (1. 内閣府 地方創生推進事務局)

Digital Garden Health Special Zones, local digitization and regulatory reform, healthcare medical data space

国家戦略特区制度は、指定区域における規制・制度改革を通じ、産業の国際競争力の強化とともに、国際的な経済活動の拠点の形成を図り、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的として、2013年に創設された。現在、16区域が指定され、都市再生、農業・林業、保育・教育、医療、外国人材、観光など様々な分野で規制・制度改革を実現してきた。
 2020年には、規制・制度改革とデータ連携を一体的に進め、2030年頃に実現される未来社会の先行実現を目指す「スーパーシティ型国家戦略特区」の公募を実施し、2022年4月に茨城県つくば市及び大阪府大阪市を指定した。あわせて、提案のあった自治体のうち、石川県加賀市、長野県茅野市及び岡山県吉備中央町の3自治体を革新的事業連携型として、「デジタル田園健康特区」に指定した。
 デジタル田園健康特区では、人口減少・少子高齢化が進む中、地理的に離れた3自治体が連携し、デジタル技術を活用しながら健康・医療分野をはじめとする地域の課題解決に重点的に取り組むこととしており、救急医療におけるタスクシフトの推進、情報銀行を通じた健康・医療データの幅広い連携・活用、貨客混載を利用した医薬品等の効率的配送などの取組を進めている。
 また、3自治体が連携し、健康医療情報の自治体を超えたデータ連携を推進しており、自治体や医療機関、民間事業者などの多様な主体が保有する健康医療情報の相互利用を通じて地域課題解決を図るため、データ形式の異なる情報を「HL7 FHIR」に統合するなど、データ変換機能(データエクスチェンジ)の開発や有用性の検証を進めてきたところであり、今後は、本取組の成果について、共通的な仕組みとして整備した上で、広く社会で活用できるよう展開していくことが期待される。
 今回は、こうした国家戦略特区、特にデジタル田園健康特区の取組状況や意義、今後の方向性等についてご紹介する。