Japan Association for Medical Informatics

[2-E-4-03] 加賀市の取り組み

*Satoshi Yamauchi1 (1. Kaga City)

Personal data distribution, Dual-use infrastructure, Zero-trust security

石川県加賀市は福井県との県境に位置する地方自治体であり、人口は約6万人で、観光業や製造業が主要産業となっている。山代温泉、山中温泉、片山津温泉という3つの温泉地を有し、カニや甘えびなど海の幸や日本酒などの魅力がある一方、九谷焼や山中漆器等の伝統工芸とこれらの技術から派生したものづくりのまちでもある。本市の最大の課題は人口減少であり、2014年に消滅可能性都市に位置づけられて以来、その脱却を目指してスマートシティ構想を推進している。令和4年4月に国家戦略特区の認定を受けるとともに令和6年3月には北陸新幹線加賀温泉駅も開業し、ヒトと産業の集積化に向けた施策が期待される。
 令和6年1月1日能登半島地震が発生した際には、本市は二次避難所として約2,500名の被災者を受け入れて支援した。温泉旅館のキャパシティを活かし、災害関連死を防ぐことが求められたが、一方で医療・介護・健康支援環境側が供給律速となり、これは本市が進める医療版情報銀行構想のあるべきを地域全体で考える機会ともなった。例えば、避難者の中にはジェネリック医薬品を処方されている方が多く、能登地方のMRが取り扱っていたとしても本市では流通しない医薬品があり、その場合、先発医薬品に遡って同一成分の医薬品を別途処方する必要がある。災害モードのオンライン資格確認等システムでは薬剤情報を本人同意なく閲覧できるが、先発医薬品までは把握できず、結果、薬剤師が人力で調べて紐づけ作業を行っていたのは、今後、解決すべき課題である。また診療受付時のユーザビリティの課題として、医師による薬剤情報の閲覧同意取得をモバイル端末でできる機会は現在、訪問診療に限って認められているが、一般診療まで利用拡大できれば固定カードリーダーに縛られずに済む。さらには保険資格有無の確認も、当日分全員を一括照会できれば効率的となる。これらの気付きと規制改革案について当日議論したい。