一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-1-05] 電子カルテの一次利用と二次利用の利便性を高めるための組織横断的委員会の検討や整備について

*松本 聡子1、秋山 剛1 (1. NTT東日本関東病院)

Medical Records, Electronic Medical Records, Quality Indicator, Medical Informatics, Multidisciplinary cooperation

【背景・目的】
先行研究において、院内横断的組織(例:委員会)は病院全体の施策への合意形成に寄与するとされている。本発表の目的は、電子カルテの一次利用(臨床使用)と二次利用(例:同意書の取得率等、QIの算出)の利便性向上においてどう寄与するかを示すことである。

【方法】
① 当院においてQI等に基づく医療の質改善のための取り組みを所掌する品質保証委員会(以下、委員会)から全診療科部長等が参加する院内全体への周知機能を有する会議(調査期間内181回開催)への付議資料を院内ポータルサイトより収集し、「院内ルールの作成(以下A)」「情報入力フォームの構造化(以下B)」「一次利用の利便性の向上(以下C)」に該当する施策を抽出する。
② ①のC施策(例:同意書の電子原本化の実現による情報閲覧と共有の円滑化)と関連するA・B施策(例:同意書の整備や運用ルールの策定、同意書の構造化と項目の標準化)を抽出し、それらにおける委員会の役割を、先行研究に基づき「医療現場の状況の的確な把握(以下ⅰ)」「連携(職種間、診療科・部門・部署間、専門領域間)(以下ⅱ)」「全体最適化(以下ⅲ)」に分類する。
③ ①②について経時的に分類する。

【倫理的配慮】
本研究はヒトを対象とせず個人情報を取り扱わないため、倫理審査の対象外であった。

【結果・考察・結論】
①・②・③により、体制整備がA→B→Cという時系列で進む傾向およびⅱ・ⅲ・ⅰの順で多かったことが示された。先行研究では、電子カルテの二次利用におけるA・Bの重要性と、医療機関における連携・全体最適化の重要性・難しさが示されている。それらについての取り組み(例:A・B・Cについて医療現場の状況等を踏まえ全体最適になるよう連携して検討・整備)が、一次利用と二次利用の利便性を高めた。院内横断的組織の取り組み時の稼働軽減(例:各診療科からの意見収集におけるDX化)が今後の課題である。