一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-1-07] 改正次世代医療基盤法による仮名加工医療情報の製薬企業利用期待に関する調査研究

*當山 まゆみ1、西田 陽介2、高橋 由光1、関根 志光2、吉原 博幸1,3、中山 健夫1 (1. 京都大学 医学研究科, 2. 株式会社NTTデータ, 3. 一般社団法人ライフデータイニシアティブ )

The Next Generation Medical Infrastructure Act, Electronic Health Records, Pseudonymized Medical Data

[目的]2023年5月に公布された改正次世代医療基盤法により、新たに「仮名加工医療情報」を作成し、利用に供する仕組みが創設された。今後、承認申請に仮名加工医療情報の利活用が期待されるが仮名加工医療情報の利活用認定取得が必須である。本研究では仮名加工医療情報への期待と認定取得に関する製薬業界の動向を調査した。
[方法]日本製薬工業協会所属企業(以下、製薬協)に所属する製薬企業(71社)、日本CRO協会に所属するCRO企業(46社)計117社を対象に全8問のWeb調査を実施した。主に仮名加工医療情報活用が期待される研究デザインと改善される業務や利活用認定取得の意向を調査した。回答期間は2024年2月20日~3月8日とした。
[結果] 製薬企業58社(回答率82%)から111名、CRO企業12社(同26%)から12名、計70社123名の回答を得た。製薬企業に所属する回答者111名中、仮名加工医療情報により業務改善が期待される部門は『メディカルアフェアーズ』が47名(42%)と最も多く、『GPSP』45名(41%)、『GCP』38名(34%)と続いた。理由として、希少疾患の研究利点や精緻なPatient Journeyの把握等が挙げられた。研究デザインでは外部対照群等への利点が挙げられた。認定取得意向は『Ⅰ型・Ⅱ型・検討中』合計で27名(24%)、『取得しない』が40名(36%)、『未検討・その他』が44名(40%)であった。取得を検討する理由として、承認申請利用や仮名加工医療情報の保管、データマネジメント目的等が挙げられた。取得しない理由としては希少疾患を扱わない、匿名統計帳票で対応可能等が挙げられた。
[考察・結論] 仮名加工医療情報は希少疾患研究への期待や承認申請利用等期待されるが、認定取得意向は企業間で回答が分かれた。特に『未検討・その他』が多く、認定条件の理解促進が重要と考えられた。
[倫理的配慮] 組織対象の質問調査であり、倫理指針の対象外である。