一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-3-01] 患者情報提供機能システムを用いた看護師のラウンド前における情報収集行動の変化

*永田 公子1、山本 直子1、中田 知廣1、細井 優美子1、宮﨑 秀雄1、花岡 澄代1、髙見 美樹2、石垣 恭子2 (1. 加古川中央市民病院, 2. 兵庫県立大学 看護学部)

Search of Patients, electronic medical records, nursing informatics

【目的】日勤業務開始後30分間に看護師が行う情報収集において、新たに導入した患者情報提供機能システムを活用することによる、情報収集時間や閲覧する画面の数など情報収集に関する行動の変化をアクセスログに基づいて明らかにする。 【方法】研究対象者は、A急性期病院の一般病棟に勤務する研究協力に同意した看護師54名であり、9つの部署に所属するJNAクリニカルラダーレベル新人からレベルⅤの看護師各1名である。研究対象者に対して調査した、基本情報(年齢、性別、看護師経験年数)及び患者情報提供機能システムの使用経験に関する質問紙の回答結果と、システム導入前と導入6ヵ月後における研究対象者の業務開始30分間のアクセスログ情報を取得し、分析した。 【結果】患者情報提供機能システム導入前後のデータを取得できたのは39名(ラダー新人3名、Ⅰ8名、Ⅱ6名、Ⅲ6名、Ⅳ8名、Ⅴ8名)であった。そのうち、アクセスログから見たシステムの使用者は12名であった。システム使用群の受持ち患者一人あたりの平均情報収集時間は、導入前が248秒、導入後240秒であった。システム使用無し群の受持ち患者一人あたりの平均情報収集時間は、導入前249秒、導入後246秒であった。システム導入後のシステム使用群と使用無し群における対応のない2群の平均値の差の検定を行った結果、有意差は認められなかった。質問紙の回答では、システムを使用しない理由として、「慣れない」「今までのやり方の方が早い」とする自由記載が多く見られた。 【考察・結論】本調査の結果、患者情報提供機能システム使用者は全体の半数以下であり、システム使用の有無における受持ち患者一人あたりの平均情報収集時間に差は認められなかった。これらの要因としては、看護師が導入されたシステムを使いこなせていないことが考えられた。 【倫理的配慮】本研究は、加古川中央市民病院研究倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。