Japan Association for Medical Informatics

[2-F-3-02] 身体拘束の最小化に向けたナビゲーションの課題抽出と改訂版実装までの実践報告

*Toshimitsu Tanaka1, Mai Yamaguchi1, Yusuke Nakaya2, Keiko Kawahara1, Chisako Kimura1, Ako Sakai1, Junko Tabuchi1, Noriko Nakanishi1 (1. 神戸大学医学部附属病院 看護部, 2. 神戸大学医学部付属病院 医療情報部)

Improving nursing work efficiency, Minimizing physical restraint, Optimizing physical restraint

【目的】当院では2021年12月より文書管理システムを使用した身体拘束実施ナビ(以下、ナビとする)の運用を開始している。その目的はナビを活用することで身体拘束実施状況のモニタリングを可能とする事と、ナビゲーションの役割を備えて身体拘束の適正化に繋げていくという事にある。この度ナビの導入評価として、臨床現場の意見より課題を抽出して、ナビの目的に合わせた改修に至ったため報告をする。
【方法】2022年度より副看護師長によるワーキンググループを立ち上げて臨床現場の意見を聞き取り、ナビの課題を抽出した。
【結果】ナビの課題として抽出された内容は、主に次の3項目である。①入力効率が悪く、重複記録が多い【業務効率化への課題】②ナビの使用が既に危険行動を起こしている患者に限定されている【身体拘束の最小化への課題】③カンファレンス記録にはナビとは別のテンプレートを用いており、身体拘束の実施状況の把握が困難である【身体拘束の適正化への課題】。それらの結果を受けての主な改修は次の3点である。①チェック項目を用いて入力効率を高め、カンファレンス記録にも使用できる仕組みにして重複記録を省いた②入院患者全員に使用できる形にして、最小化と適正化に向けての判断基準が明確化される仕組みを取り入れた③2024年度診療報酬改定における身体拘束最小化の施設基準の条件にも該当させ、評価指標としてデータ集約できるものとした。
【考察・結論】臨床現場の意見を抽出し、ナビの効率性を高めて、身体拘束最小化の施設基準の条件に該当させたことで、現場への周知を進めて導入に至ることができた。今後、ナビの入力率や身体拘束の実施率などの推移を出して、身体拘束の最小化と適正化に向けた取り組みに活用されれば、看護および医療の質の向上に繋がると考える。
【倫理的配慮】聞き取り調査では回答に不利益を被らないこと、個人が特定できないように留意した。