[2-G-1-01] 海外における医療リアルワールドデータ基盤の標準化動向
Real World Data, OHDSI, OMOP CDM
【目的】我が国のリアルワールドデータ(RWD)利活用に関しては、医療機関間の電子カルテシステムや検査コード等の違いにより、データの品質に問題があり、複数医療機関のデータを用いた統合解析にはデータの品質課題を解決する必要がある。またグローバルなRWD利活用や各国との共同研究に向けて、海外の取組み状況や標準化について把握する必要がある。本研究では海外RWD利活用の事例と基盤構築について調査し、国内にフィードバックすることを目的とした。【方法】世界的に最も広範かつ先進的な地域を網羅し実績を上げているOHDSIを対象とし、OHDSIが推進している世界規模のRWD分析用の標準規格OMOP-CDMの実装事例について調査と現地訪問(ドイツ、韓国など)を行った(厚労科研23CA2005)。【結果】EU諸国のEHDENやDARWIN、ドイツのMIRACUMプロジェクトでは、各施設にOMOP-CDMを導入し、産学官が連携し医療の実践や政策、医薬品安全性などをテーマとして活動している。アジアでは、韓国が突出しており60施設以上のネットワークを構築している。台湾は台北医科大学関連の3〜4施設が中心となり、シンガポールでは国策としてOMOP-CDMの導入を決定し、ゲノム情報も収集する方針を掲げた。また中国、香港、フィリピン、インドの取組事例の報告があり、OHDSI参加国ではOMOP-CDMを基盤とした多施設連携、国間連携による論文も増加傾向にある。【考察・結論】日本はOHDSI イベントに参加しているもののOMOP-CDMの国内普及は数施設であり進んでいない状況である。まずは韓国・台湾の指導を受けながら、アジア諸国との連携を見据えた実証としての国際共同研究を実施し、欧米へ展開することが現実的である。OMOP-CDMの導入が遅れると国際共同観察研究に遅れるだけではなく、本領域においてJapan Passingとなってしまう懸念がある。
