一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-1-05] C-CAT利活用システムにおけるCGP検査のリアルワールドデータ公開

*玉井 郁夫1、田辺 真彩1、田中 勝弥1、温川 恭至1、白石 友一1、福田 博政1、小芦 尚人1、田中 諭1、高阪 真路1、加藤 護1、大熊 裕介1、吉田 輝彦1、河野 隆志1 (1. 国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター)

C-CAT(Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics), CGP(Comprehensive Genomic Profiling) test, C-CAT Data Utilization System

【目的】
保険診療におけるがん遺伝子パネル(CGP)検査では、患者の同意を得た上で、治療薬や治療期間・効果を含む診療情報やゲノムデータががんゲノム情報管理センター(C-CAT)へ提供される。C-CATへのデータ登録や利活用を通じて、がんゲノム医療を後押しする。
【方法】
診療を目的としたWebシステム(診療検索ポータル)、学術研究や医薬品の開発等を⽬的としたWebシステム(利活用検索ポータル)およびゲノム元データ等が解析可能なVDI環境(C-CAT CALICO)を運用している。データ利活用の促進のためシステムの整備を行った。
【結果】
2024年4月17日までに72,220件のCGP検査が実施され、二次利用同意を得た71,967件(同意率99.7%)のデータを利活用検索ポータルに搭載した。2024年5月末時点で、診療検索ポータルについては249施設(943名)が、利活用検索ポータルについては、企業利用12課題を含む103課題が利用している。また、アンケートにより利用者のニーズを把握し、データ利用の手法に関する個別相談を行うなど、利用の向上を図った。特に、希少がんや希少変異に関しては公開データそのものが乏しく、薬事等への利用も期待されることが分かった。
【考察・結論】
二次利用への同意率が高く、自身の結果が医療の発展に寄与することを期待する患者が多いと考える。多くの利用者が遺伝子変異に加え治療の情報を用いた研究・調査を実施している。医療機関の入力負担を考えると収集項目の追加は容易ではないが、利活用における重要項目については、データキュレーションの仕組みなど考えていきたい。
【倫理的配慮】
C-CATデータの二次利用について「国立がん研究センター研究倫理審査委員会」にて承認を受けている。C-CATデータの利用は「情報利活用審査会」による公平かつ公正な審査を経て、許諾された場合にのみ可能となる。