Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-06] がん臨床統合データベースの活用:食道内視鏡におけるカンファレンスと症例集積

*Kazuhiro Suzuki1, Hikaru Takahashi1, Miki Machida2, Shino Goto2, Hiroki Nakamura1, Toshiyuki Yoshio2, Masahiko Oguchi1 (1. 公益財団法人がん研究会 有明病院 医療情報部, 2. 公益財団法人がん研究会 有明病院 上部消化管内科)

Medical Informatics, Preoperative conference, Integrated Clinical Cancer Database

【背景】当院は2017年から「がん診療に関する臨床情報を統合的に保存・管理するデータベース(以降「統合DB」)」の開発に着手し、外科系:11診療科、内科系:5診療科にて運用中である。
【目的】上部消化管内科ではカンファレンス(以後「カンファ」)準備の効率化ならびにカンファ時に記載した内容の有効活用を目的に、統合DBを患者ポータルのように利用して前向きにデータを作成し、必要事項を電子カルテへ転記する運用を開始した。
【方法】データ入力のスタートは電子カルテの初診テンプレートであり、初診日、紹介元、既往歴、前医治療、等の項目を入力する。カンファ対象者は電子カルテDWHから入院申込を検索し、入院日、治療予定日、目的、治療名を抽出することでリストアップする。カンファ準備にあたっては、統合DB上に構築した食道内視鏡カンファ画面から前記リストを表示し、専用のカンファDB画面を開いてカンファ内容を入力する。その際には、初診テンプレートが当該画面内で参照できるだけでなく、直近3ヶ月以内の検体検査結果、放射線ならびに心電図レポートも参照できる患者ポータルの仕組みを実装した。カンファDB画面で記載・参照した内容は、病名、現病歴、術前検査、術前内視鏡所見、術前病理、まとめ、などの項目をERカンファ記事として一定のフォーマットに自動整形し、クリップボード経由で電子カルテへ直接貼り付ける機能を実装した。
【結果】カンファDB画面における患者ポータルの実装と統合DBへのデータ保存により、スムーズなカンファだけでなく、カンファデータを有効に活用する(症例DB作成等)環境を実現した。
【考察・結論】統合DBの前向き利用により、典型的な食道がんESD症例では51項目中の38項目(74.5%)において自動・半自動転記を実現し、医療現場の業務効率改善を実現した。
【倫理的配慮】院内での業務システム開発のため、特別の配慮なし