一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-5-02] がん領域における医療機関間連携を目的としたHL7 FHIR mCODEの項目面からの実装の検討

*向井 まさみ1、水野  孝昭2,4、関 昌佳5、柴田  英典4、水野  広介4、田中 勝弥3,1、山本 昇2、吉本 世一1 (1. 国立がん研究センター中央病院医療情報部, 2. 国立がん研究センター中央病院先端医療科, 3. 国立がん研究センター情報統括センター, 4. 株式会社CLINIAL, 5. 有限会社グローバル・フォー)

HL7 FHIR, mCODE, Enterprise Data Base

【背景・目的】当院は急性期がん治療専門病院であり、データ利活用基盤として電子カルテおよび部門システムのテキストデータを集約した統合データベース(以降、統合DB)を運用中である。統合DBには、当院での実績のデータは存在するが、前医での治療実績等がん領域で治療方針を決める際に必要な情報は診療情報提供書の中に記載されており即座に利用できないという課題が存在する。また、診療情報提供書のHL7 FHIR準拠の記載要領は、2022年厚生労働省標準規格になっているが、記載項目の粒度は従来の診療情報提供書を踏襲しており、疾患の状態や治療歴が即座に利用できるようにはなっていない。今回、がん領域における情報連携の枠組みについて検討したので報告する。【方法】HL7 FHIRのmCODE(minimal Common Oncology Data Elements, Version: 4.0.0-ballot)で提案されている項目群に対して、臨床データを設定する項目に対して観察研究、臨床それぞれの目的別に必要度を設定した上で当院の統合DBに格納されている項目の充足度を確認した。【結果】mCODEの6つのthematic groups、65FHIR Profileで臨床データから設定する項目は約3400項目であった。そのうち観察研究目的で必要な1076項目のうち292項目(29.4%)、臨床目的で必要な1106項目のうち297項目(29.1%)が統合DBから即座に抽出可能な項目であった。GroupごとではOutcomes およびGenomics の充足度が低かった。【考察】Outcomeの充足度は現状の電子カルテ記事の中に記載されていること、Genomicsもpdf形式の報告書のみが提供されている状態と矛盾しない。一方、複数の医師からがん領域の情報体系として有用であることも示された。