Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-01] 医療機関における調剤済情報の取り扱いにかかる諸課題について

*Fumito Tsuchiya1 (1. Former Faculty of Pharmaceutical Sciences, International University of Health and Welfare)

昨年1月から電子処方箋が実運用され、医療機関や薬局では処方情報、調剤情報が、マイナポータルでは薬剤情報(レセプト情報)と電子処方箋の場合の処方情報、調剤情報が参照可能である。しかしながら、医療機関に保存されている処方情報は、患者に交付時の処方情報であるが、この処方情報は、薬局で薬剤師法第23条第2項により医師の同意を得た場合あるいは薬剤師法第24条による疑義照会が行われて処方内容が変更になった場合、即ち調剤に取りかかる直前の処方情報というように変更が行われることがあることを前提としている。
 また、薬局で変更された処方情報の変更内容については、調剤済みの処方箋あるいは調剤録に記録を残すことが薬剤師法施行規則により定められているが、それらの変更された処方情報を医療機関にどのように戻すのかについては法令に定めがない。現状においてはいわゆるトレーシングレポートという形で薬局から医療機関にこれらの情報を戻す方法が実施されているが、それらは法的義務ではないため、情報のフィードバックをどのように行うのか、また、医療機関に戻された情報を院内の情報システムでどのように扱うのかについては定めがないのが実情である。
 そこで電子処方箋が本格的に実用化されるまでに、これらの情報をどのような形で扱うのがよいのかについて、具体的なプロセスを示して、検討を行うこととする。また、電子処方箋では重複投与、併用禁忌に関するチェックシステムは現存しているが、処方情報と調剤情報が内容として一致しているか否かをチェックするシステムは存在していない。
 これらのことから本格的に電子処方箋が実現する前に、処方情報、調剤情報、用法や処方の粒度を含め、電子処方箋における処方情報や調剤情報をめぐる諸課題について検討を行うと共に、電子処方箋に関して整備すべき事等について提言を行いたい。