一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1-06] 電子処方箋における処方情報・調剤情報を考える

*薮 定彦1 (1. (株)ソフトウェア・サービス)

2022年5月、医療DX令和ビジョン2030が提言され、その中に「全国医療情報プラットフォーム」が盛り込まれた。2023年1月より医師・歯科医師と薬局薬剤師の間で電子情報化された処方情報(電子処方箋)をやり取りする仕組みである「電子処方箋管理サービス」がオンライン資格確認等システムを拡張する形で設置された。
 電子処方箋は複数の保険医療機関や保険薬局で直近に処方・調剤された情報を参照することができ、その情報を活用した重複投薬、併用禁忌のチェックを行うことが可能となる。処方情報の管理が一元化されることにより、適切な薬学的管理が可能となり患者が自身の服薬履歴などの薬剤情報を管理することができる。電子処方箋管理サービスは日々、機能拡張が行われ、重複投薬等チェックの口頭等同意機能やリフィル処方箋の対応、マイナンバーカードによる電子署名機能が追加された。また来年には院内処方に関しても対応が予定されている。
 2024年7月末時点で電子処方箋に対応している医療機関や調剤薬局は約2,7000施設となり、急速に広まっている一方で、病院の対応数は約140施設に留まっており、病院の普及率の低さが一つの課題となっている。電子処方箋を導入する際には、医薬品・用法マスタの見直しや、電子署名を行うための申請等の準備といった職員への負担、電子処方箋に対しての患者、病院職員への周知・理解等、対応するべき様々な課題がある。
 今回は、電子カルテシステムベンダとして電子処方箋管理サービスに保管されている処方・調剤情報を電子カルテシステム上でどのように活用すれば、利便性の高いシステムの構築に寄与し、普及率の促進に繋げることができるか考える。