Japan Association for Medical Informatics

[2-I-3-01] 医療機関における無料版RPAの有効性と実用性の評価

*HAYATO YANO1, Yuki Inoue1, Kensuke Kawai1 (1. 公益財団法人操風会岡山旭東病院)

RPA, DX, Free Software

【目的】現在、医療機関では有償のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が導入されることが多いが、無償のRPAの利用は稀である。本研究では、医療機関のDX推進の一環として、無償でオフラインでも動作可能なRPAソフトを用いて電子カルテ業務の一部を自動化し、その有効性と実用性を評価することを目的とする。【方法】電子カルテを使用した病棟管理日誌の印刷業務を自動化するため、「管理日誌起動、病棟選択、日付選択、データ取込み、印刷」というフローに基づいたスクリプトを作成した。スクリプト作成の際、クリック位置の記憶、変数の取得、テキスト入力、キー出力などのRPA機能を活用し、自動実行の稼働率と作成難易度を3ヶ月間検証した。【結果】クリック位置の記憶を利用したスクリプト作成は一般職員でも可能であったが、日付選択には変動する内容を入力するため変数の理解が必要だった。自動実行においては月に数回の不具合が発生し、原因はスクリーンセーバーなどRPAソフトが対応できない現象や、あらゆるパターンを想定したスクリプトの作成の困難さにあった。【考察・結論】当RPAソフトを用いた電子カルテ業務の自動化は一定の効果が確認され、一般職員でも基本的な操作が可能であることが示された。ただし、一部の操作にはシステム担当者の支援が不可欠であった。スクリプトの手動実行は問題なく稼働し、実用性は十分と判断されるが、指定時間での自動実行は端末の状態に依存するため、完全な自動化には高いスキルが必要であることが示唆された。また、有償のスクリプト作成支援サービスの利用有無や作成者の技量が効果を左右することが示唆された。【倫理的配慮】本研究では患者情報の取り扱いに十分な注意を払い、個人情報保護法および関連する倫理ガイドラインに従ってデータを扱った。また、導入前に職員への十分な説明を行い、同意を得た上で実施した。