一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-5-01] データウェアハウスを活用した看護記録における監査環境の構築

*多田 賀津子1、中川 龍人2、山田 真紀1、黒木 厚志1、宮本 忠司1 (1. 兵庫県立尼崎総合医療センター, 2. テクノブレイブ株式会社)

nursing record, audit, Data Ware House (DWH), visualization

【目的】当院では、患者が入院する際にリスクアセスメントするための各種スクリーニング記録を文書管理システム(Yahgee)に集約しており、退院支援や褥瘡に関するものなど8文書ある。これらは看護記録として捉えられ、チーム医療推進のための情報伝達手段として活用されることから、正確かつ適切に記載する必要がある。スクリーニング記録における当院の看護記録記載基準は、「患者別、1入院ごとに、それぞれ1文書作成」等としているが、再評価時に同一文書を重複作成するなど、ルールの徹底が不十分であった。そこで、データウェアハウス(CLISTA!)を活用し、看護記録における効率的・効果的な監査環境の構築を目指した。【方法】データウェアハウスを活用し、病棟別、患者別、各種スクリーニング別に、看護記録記載状況一覧および患者状態に対応した看護計画立案の有無を自動判定できる環境を構築した。各病棟から選出された看護師で構成される看護部記録委員会において、抽出した監査データを利用し記載基準に準拠できていない原因を探求し対策案を策定した。【結果】 全入院患者の看護記録監査結果は、患者別、1入院ごとに、それぞれ1文書の作成率は74%、褥瘡発生リスクに対する看護計画立案率は70%等であった。その原因として記載基準の周知不足、ユーザーが特定の操作を理解していないことが明確になり、各病棟にて対応策に取り組んでいる。【考察・結論】 監査データは一定条件のもとデータウェアハウスより抽出するため、監査者の経験や力量に左右されることなく客観的な評価が可能となり、データの正確性を担保できた。さらに、不十分な記録の傾向やその推移を効率的に確認することが可能となり、看護記録監査に利用できる有益なデータが抽出できる環境を構築できたと考える。【倫理的配慮】 情報収集は病院情報システム内で行い、対象患者が不利益を被ることはない。