[2-I-5-02] 診療情報の利活用促進を目的とした阪大病院データバンク事業における患者同意管理と同意取得支援
Consent Management, Consent acquisition support, Databank
【目的】阪大病院データバンク事業は、AIを始めとする研究開発・商品化を国内外の研究機関や企業が共同もしくは単独で進めるために、阪大病院の診療情報を利活用する取り組みである。本事業では、病院受診患者に対し本事業の説明後に同意署名を取得し、同意取得患者の診療情報は情報活用審査委員会の審査と承認を経てデータ提供される。病院受診患者に対して網羅的に同意を取得するためには、病院情報システムによる支援が必要となる。【方法】確実に同意取得患者の診療情報を提供するため、電子カルテに同意取得管理を行う項目を新設した。ステータスは「未確認」、「出力済み」、「同意」、「非同意」を用意した。受診患者に対して、事務職員が電子カルテよりQRコードの付与した同意書を印刷し、説明文書と共に患者に手渡しをする。同意書印刷で「未確認」から「出力済み」にステータスが変わる。院内各所に同意書回収ボックスが用意され、患者は同意書を投函する。回収した同意書はOCR解析機能で「同意」、「非同意」のチェックを解析し、ステータスを「出力済み」から「同意」あるいは「非同意」に変更する。同意書が回収できない場合、「出力済み」の状態で2か月経過すると「未確認」へとステータスが戻り、再印刷の対象となる。【結果・考察】2024年6月現在、15,300人の同意を得ており、770人は非同意であった。本事業開始時は、重点的に同意を取得する診療科を選定し、事務員を配置し、本事業の説明と同意書回収に努めた。2023年度以降は雇用経費の問題から事務員を減らし、初診患者に対して同意書と説明文書を手渡しする方法に変更した。その結果、同意書の回収率は低下した。一方、回収した同意書の同意取得率は、運用変更前後を通じて95%を継続的に超えていた。【倫理的配慮】本研究は、大阪大学医学部附属病院 観察研究倫理審査委員会で承認を受けている。
