Japan Association for Medical Informatics

[2-I-5-04] 在宅材料管理のRFID導入 ~看護師から事務へのタスクシフトと材料価格変化に対応したコスト管理~

*Masaru Watanabe1, Sirane Reizou1, Kanno Marie1, Toyama Rie1 (1. 宮城県立こども病院)

RFID, GS1 Standard, Home Healthcare, SPD, Logistics

【目的】地域包括ケア政策の実践が進む今、在宅医療患者が急激に増加している。医療機関では在宅部門看護師の増員や紙伝票を中心とされた請求事務などの非効率な管理プロセスに課題があった。そこでRFIDを導入し専門知識がない事務へのタスクシフトを図るとともに、発注、コスト管理、電子カルテの記録を一元化。在宅医療の管理を「物流」から「戦略的ロジスティクス」への変革を目的とした。【方法】提供材料は電子カルテ入力し、発注・納品・RFIDで検品・患者引き渡しまでを自動データ連動させ記録と作業のプロセスを一つのフローに改善する。人工呼吸器等のリース品もインフォコム社の文書システムによりデータベース(DB)化した。紙伝票からの脱却、標準化、DB化を行う。【結果】2023年1月~3月の検品で18件(N=651:2.8%)のエラーを防止した。患者からの間違いの指摘は0件であり、SPDのミスをすべて防止できた。RFIDは材料の専門的知識がなくても完璧な検品を実現した。また、DB化による効果として、対応指導料収益とコストの可視化が実現し188件(N=651:28.9%)が当院基準を超えた金額の材料提供を発見し対策できた。【考察・結論】RFIDには誤読と未読の課題があり、1回のトリガーで材料を正確に読み取ったのは84%(N=100)であった。対策として電子カルテと読み取りデータの整合を図り、正確な入力を確立。これにより看護師から事務補助へのタスクシフトの実現と安全な材料提供を両立した。また、GS1はSPDと電子カルテなどマスターのハブとして複数のDBの連動を実現させた。電子カルテからSPD発注システムへ連動はDWHからGS1を抽出させ自院開発。コストなしで実現している。医事DBとの連動では、昨今の材料の価格変動に対応したコスト管理、患者別収益の可視化と管理を実現できた。【倫理的配慮】2023年1月~同3月の宮城県立こども病院在宅材料情報を匿名化利用。2023年01月09日 宮城県立こども病院・倫理委員会承認