Japan Association for Medical Informatics

[2-J-2-01] Webページ参照時に極めて大きな拡大文字を必要とする視覚障害者の傾向

*Takeshi Tanaka1, Rie Fujita2, Kazuhito Ujima3, Akito Narai4, Yoshiaki Kiuchi5,2 (1. 広島大学 病院, 2. 広島アイクリニック, 3. 広島大学 大学院人間社会科学研究科, 4. 奈良井眼科, 5. 広島大学 大学院医系科学研究科)

Medical Institute Webpage, Web Accessibility, People with Visual Impairment

【目的】Webアクセシビリティの国際ガイドラインWeb Contents Accessibility Guidelineには画面に表示する文字のサイズについて支援技術なしで 二倍に拡大可能にすべしとの記述がある。しかし視覚障害は個人差が大きく,通常の五倍以上の100ptの文字サイズが必要な場合もある。また視覚障害者(以下,当事者)が閲覧に用いる端末の障害者支援用機能を使えるとは限らない上に人的サポートを受けるまでに数年かかることもある。この問題を解決する為に著者等は重度に視覚障害者の閲覧にも対応出来る医療機関Webページモデル(以下、モデル)を開発し、当事者による評価を行ったところ、概ね良い評価を受けた。今回は評価に用いたアンケートデータから、どのような属性の当事者がモデルを高く評価したのかを分析した。
【方法】2021年8月から2024年1月までWeb参照可能な70歳代以下の成人男女の当事者(障害者手帳5級相当以上1級未満)にメールアンケートおよび当事者へのヒアリングを実施した。モデルの評価、障害の種類(視力、視野、色覚等)や読みづらい文字種について質問を行った上で、最も重篤(仮名文字が読みにくい)な群(A群)と重篤ではない(漢字を読みにくいと感じない)群(B群)の傾向をクロス集計で比較した。
【結果】40名の当事者の内、A群は7名、B群は19名であった。A群に共通していたのは視力と色覚の障害であり、全員がモデルを支持した。B群には明確な傾向は見られなかった。
【考察・結論】プライバシー保護のため医療記録との整合は行っていないが色覚が中心視野に大きく依存することからA群は中心視野に障害を持つ当事者の割合が多いことが推測される。
【倫理的配慮】広島大学疫学研究倫理審査委員会承認済(E2020-2008)。