Japan Association for Medical Informatics

[2-J-2-03] 起立困難な患者を対象とする AR を用いた簡便な体重推定システムの評価

*KEITA SUMIKURA1, Takashi Yoshino1, Tomoki Ohira2 (1. 和歌山大学 システム工学部, 2. 四国計測工業株式会社)

Elderly Care, Weight Estimation, Body Measurement

【目的】
 体重は患者の健康状態を判断する1つの指標であるが,起立困難者の体重測定にはベッド式の体重計などの専用の装置が必要となり,体重の測定が困難である.そこで,本研究ではスマートフォンを用いた簡便な体重推定システムを開発した.本稿では,本システムの体重推定精度を評価することを目的とする.

【方法】
 本システムはアプリ上で動作し,ARの平面認識機能を用いて体重推定に必要な身体部位長を測定後,作成した体重推定式から体重を推定する.システム内で身体部位の測定値を体重推定式に自動で代入することで,簡便な体重推定が可能である.システムを用いた身体部位長の測定が,実際の身体部位長と差異があるか確認するため,和歌山大学の学生男女各10人を対象に実験を行い,手動での身体部位の測定値と,システムでの身体部位の測定値を比較した.

【結果】
 身体部位の手動測定と,システム測定の間で,誤差が見られた.特に,前腕最大幅はMAPEが他の身体部位に比べ,高い結果を示した. 測定した6つの身体部位から作成した体重推定式を用いた場合,算出された体重推定値は,手動測定値の場合,誤差が6.94kg,システム測定値の場合,誤差が2.49kgであった.

【考察・結論】
 推定体重に誤差が発生した原因として,システム測定時の誤差と,体重推定式の作成に用いたデータが影響していると考えられる.体重推定式の作成に用いたデータは,座位での大腿厚,および立位での下腿最大幅であった.しかし.本システムで取得する身体部位長は,仰臥位での大腿厚,下腿最大幅であるため,推定体重に誤差が生じたと考えられる.

【倫理的配慮】
 倫理審査について,体重測定は通常の業務の内容であり,和歌山大学の倫理規程おいては,「通常の診療を超える医療行為」の場合には申請が必要であるが,本研究では該当しないと判断し,申請していない.今後,詳細抄録を作成するために再実験する.その際に,倫理審査を申請する.