[2-J-2-04] 地域包括ケアDX体制の構築に向けたPHR活用の取り組み
Personal Health Record, Older outpatients, Hypertension
【目的】当院では2017年より医療・介護情報連携システム(高知家@ライン)を活用した在宅療養支援に取り組んでいる。2023年11月からは同システムにPHR(Personal Health Record)機能が追加され、外来において生活習慣病患者の重症化予防を目的としてPHR活用を進めている。今回、外来でのPHR活用状況を分析し、PHR活用促進の方法について検討を行った。【方法】2023年11月より高血圧治療を行っている外来患者を対象に高知家@ラインの利用について主治医が説明し同意を得た後、看護師が患者とともにスマートフォンにPHRアプリをインストールし、操作方法について説明を行った。高知大学医学部内に設置されたサーバー内のデータを用いてPHR活用状況の分析を行った。【結果】本システムの利用に同意された方は38名(男性21名、女性17名)、平均年齢74±5.5歳(61-84歳)であった。最も利用頻度の高い項目は血圧値の入力であり30日あたり平均25.3日の利用であった。2024年5月の記録では38名中32名(84.2%)が家庭血圧の入力を行っていた。アプリに歩数の自動入力が設定された27名のうち1日平均4,000歩以上が記録されているのは5名(18.5%)であった。【考察・結論】本研究では、高血圧患者が対象であったため、血圧値の入力頻度が高かった。スマートフォンを電話以外で使っていないという高齢患者も、アプリの利用方法の説明を受けることにより入力作業を行っていた。一方、歩数の増加や食事内容の入力といった日々の活動については変化を認めず、今後の介入が必要と考えられた。今後、PHR活用促進において、継続したアプリ利用方法とともに生活習慣改善の支援を行うことが必要と考えられた。【倫理的配慮】本研究は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を遵守し、高知大学医学部倫理委員会に申請し承認を得て実施した。
