Japan Association for Medical Informatics

[2-J-3-01] 薬剤師・医療情報技師(HIT-Pharmacist)に対する現状調査2024
第3章 所属医療機関における医療情報システムについて

*Naoki Yoshida1, Kyohei Terauchi2, Yoshinori Seto3, Atsushi Daikoh4, Satomi Nagashima5, Akihisa Esashi6, Yasunori Nagano7, Masahiro Ohba8, Hiroyasu Sato9 (1. 大阪大学医学部附属病院, 2. 藤田医科大学ばんたね病院, 3. 北里大学病院, 4. 済生会横浜市東部病院, 5. 東京大学医学部附属病院, 6. 宮城県立がんセンター, 7. 公益社団法人 東京都教職員互助会 三楽病院, 8. JA神奈川県厚生連 伊勢原協同病院, 9. JA北海道厚生連 網走厚生病院)

HIT-Pharmacist, Healthcare Information Technologist, Hospital Information System, Pharmacist

【目的】我々は医療情報技師の資格を取得した薬剤師を薬剤師・医療情報技師(以下 HIT-P)と称し、「薬剤師・医療情報技師会」を設立している。これまで4年毎にHIT-P所属施設の現状調査を2回実施してきた。本研究では、2024年におけるHIT-P所属施設の医療情報システム(HIS)の現状を調査し、HIT-Pの役割やその活動における課題を明らかにすることを目的とした。
【方法】2024年4月時点における会員260名に対して、Googleフォームによる無記名、選択肢および記述回答式の全51問のアンケート調査を実施した。なお、本設問範囲は1施設につき1名が回答をするよう依頼した。
【結果】アンケートは76施設からの回答が得られ、HISを導入していた72施設を有効回答とした。HISの薬剤マスタは64施設(89%)で薬剤部門が整備していた。また、53施設(74%)ではHISに処方チェックデータベースを導入しており、その内41施設(77%)では薬剤部門が管理を行っていた。院外処方箋は、QRコード等の電子情報印字を32施設(44%)、検査値情報の印字を29施設(40%)で対応していた。また、電子お薬手帳は12施設(17%)、電子処方箋は2施設(3%)で導入していた。情報セキュリティの定期教育は54施設(75%)、ランサムウェア対策は56施設(78%)で実施されていた。
【考察・結論】前回調査の2020年よりHIS導入施設の回答が11施設増えており、院外処方箋への電子情報の印字、電子お薬手帳の交付が各々10%程度増加しており電子化が進んでいた。HISの薬剤関連システムの管理は主に薬剤部門が担っており、適切な運用にはITリテラシーが求められ専門知識を持つHIT-Pの活躍が期待される。また、今回初調査となった電子処方箋の導入率は1割以下であり今後の課題と考える。さらに情報セキュリティの教育や対策を実施する施設が7割程度ある現状を把握できた。今後も調査を継続しHISの実態を把握することは、HIT-Pの取り組みの成果やその方向性の確認において重要である。