Japan Association for Medical Informatics

[2-J-4-02] 難病・希少疾患の臨床試験、開発薬、標的遺伝子/パスウェイのデータベース:DDrare

*Ryuichi Sakate1 (1. 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)

Rare and intractable diseases, Clinical trials, Drug target genes/pathways, Drug repositioning

【目的】難病・希少疾患領域では、患者数の少なさから創薬開発のための情報不足が課題である。我々は課題解決の一つのアプローチとして、網羅的かつ疾患横断的な創薬状況を比較・分析可能とするためのデータベース:DDrare(ディーディーレア)を開発した。開発薬の情報とそれらの標的遺伝子/パスウェイの情報とを紐づけることで、創薬に有用な情報が得られることを目的としている。
【方法】厚生労働省の指定難病を対象に同義名等を含む英語辞書を作成した。これをもとに、指定難病に対応する難病・希少疾患について、日米欧中の臨床試験データベースから臨床試験及び開発薬の情報を抽出した。開発薬については、DrugBank とKEGGを参考に標的遺伝子/パスウェイの情報を紐付けた。
【結果】指定難病のうち239疾患(70.7%)について、臨床試験34,520件及び開発薬2,195件(DrugBankにあるもの)が抽出できた。このうち開発薬955件については、613標的遺伝子、297標的パスウェイの情報を紐付けることができた。疾患横断的に見ると、開発薬390件(17.8%)が指定難病5疾患以上で共有されていた。同様に、標的パスウェイ263件(88.6%)と標的遺伝子284件(46.3%)が、5疾患以上で共有されていた。
【考察・結論】患者数の多い疾患に臨床試験及び開発薬が多い傾向が見られたが、開発薬の相当数が複数疾患間で共有されていた。それらの開発薬には、広く用いられている抗炎症薬等だけでなく、疾患特異的な遺伝子/パスウェイに関連するものも含まれていた。このような情報から、新たなドラッグリポジショニング候補探索が可能と考えられる。DDrareについては、2024年度以降もデータ更新及びテキストマイニングツールや検索システムの改良等を進めていく計画である。
【倫理的配慮】該当なし