Japan Association for Medical Informatics

[2-J-4-05] 医療機関への来院に依存しない臨床試験手法の導入のための「多職種連携プラットフォーム」の活用:臨床研究中核病院におけるDCT整備の取組み

*Yachiyo Kuwatsuka1, Akitaka Sugishita1, Masaaki Mizuno1, Kouta Funakoshi2, Koji Todaka 2, Masahiko Ando1 (1. 名古屋大学医学部附属病院, 2. 九州大学病院)

Decentralized Clinical Trial, Drug Development, Digital Platform, Patient-oriented

【目的】被験者が実施医療機関に来院せずに臨床試験に参加できる手法として分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial, DCT)が注目されている。DCTではオンライン診療等のデジタル技術を活用し、従来は試験実施医療機関で行っていた検査等をサテライト医療機関や患者自宅で実施する。DCTの普及により実施医療機関への受診等が困難な患者の試験へのアクセス向上が期待される。臨床研究中核病院では2022年以降AMED医療技術実用化総合促進事業において模擬治験を通してDCTのための体制整備を進めてきた。【方法】3省2ガイドライン準拠のクラウド型情報共有システムであり、名古屋大学と企業の共同研究により多職種連携や情報共有のために開発され、商用化後に行政・医療機関で広く導入されている地域包括ケア/医療連携の社会基盤ツールを用いて、DCT模擬治験における関係者間での診療情報の授受を試行した。さらにD to P with D型の試験においてリモートでeConsentを取得するための新規機能を開発した。【結果】模擬治験において氏名や検査結果を含む情報や治験資材をサテライト機関/治験実施機関/訪問看護ステーションの間でデジタル基盤を用いて迅速に共有することが可能であった。説明同意文書上に署名を付記する機能の追加により、被検者の同意取得にもシステムが利用可能となった。【考察・結論】迅速性に課題のある従来型のFAXや郵送による情報共有に代わり、既存の地域医療連携の社会基盤ツールを活用し、新規の開発導入コストをかけずにDCTにおける情報授受のDX化を試行した。医薬品開発に特化したシステムはアカデミアにとっては高額な製品もあり、既に医療機関でも導入されているシステムを活用できたことは意義深い。新たに開発したeConsent機能は観察研究の研究協力機関における同意取得にも活用可能と考える。【倫理的配慮】人から取得した試料情報を用いておらず、倫理審査を要する研究には該当しない。