Japan Association for Medical Informatics

[2-J-5-02] 測定結果自動取得可能な血圧等のvital情報測定機器利用の評価と課題

*Takehiro Matrsumoto1,2,3, Takuya Kinoshita2, Junichi Sakamoto2, Tetsuya Usui1,5, Takuya Ushijima1, Akinori Fujisawa1,6, Haruka Fukusima1,6, Akemi Tsuji1,4, Kyoko Takaishi1,4, Rika Yashita1,7, Tomoyuki Nogami1,7, Mayumi Ito1,6 (1. 長崎大学病院 医療情報部, 2. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療情報学, 3. 長崎大学病院 メディカルサポートセンター, 4. 長崎大学病院 看護部, 5. 長崎大学病院 検査部, 6. 長崎大学病院 医事課, 7. 長崎大学病院 口腔管理センター)

EHR, PHR, ePRO, Vital sign

【背景】政府は、電子化された診療情報の共有による医療DXを強力に進めている。これまでの取組は、地連による医療機関の電子カルテ情報の共有が主体であったが、自宅での血圧等のvital情報を自動取得して診療利用する取組も始まっている。今回、vital情報を自動取得可能な測定機器を患者に貸与しその効果と課題を評価した。
【目的】測定結果が自動取得可能な健康管理機器を臨床利用する上での評価を行う。
【対象と方法】2024年3月より、スマートフォン経由の測定結果が医師の端末上で確認可能な血圧計、体重計、体温計、酸素飽和度計、活動量計を貸与し、半年後および1年後に有益性と負担に関するアンケートを患者と医療従事者に同時実施するとともに、測定回数とアンケート結果の関係を評価した。なお、アンケートの回答は最良、準良、準悪、最悪とし各々1~4点の点数評価とした。
【結果】19名の結果が得られた。患者、医療従事者ともに有益性では、それぞれ平均値1.29と1.74(p=0.132)、中央値は1と2、負担感の平均値は2.06と2.95(p=0.037)、中央値は2と3だった。また、有益性1は2に対し、平均測定回数が3日以内は9.6回と2.8回(p=0.042)、1週間以内は26.5回と7.0回(p=0.004)と有意に多く、特に後者の差が大きかった。
【考察・結論】自宅での健康情報は、従来臨床評価として十分に利用されていないが、新たな知見を生み出す可能性がある。本研究より、vital情報機器貸与による結果の臨床利用の有益性は、患者医療従事者とも有益と評価していたが、負担感は両者ともに感じており、特に医療従事者に強かった。また、有益性1が2より1週間以内の測定数が多いことから、利用開始1週間以内の使い勝手が効果に向け重要である点が示唆された。通信設定の容易さ利用上の障害、障害時の容易で迅速な利用回復等の改善により、本評価はさらに高まるものと考えられた。
【倫理的配慮】本研究は長崎大学病院臨床研究倫理委員会にて承認されている。(許可番号 23022002)